大阪労山「山の教室」とは

この講習会は、大阪労山の各種学校を受講されていない方でも、項目ごとの講義を個別に受けていただけるよう、また将来的には各種学校の講座の一部共有化などの効率化を狙ってのものです。
それぞれ入門編や実用編等があり、講義によって座学や実技があります。
以前は受講ごとにスタンプを押印するスタンプ制でしたが、スタンプ制度は一旦廃止して、今後は事務局で受講者の管理を行ないます。
それぞれの講座を1~2回程度実施予定で年間30回程度の講座を予定しております。

平日の座学は基本19:30~21:30(19:00受付)です。会場は大阪府連盟事務所です。
平日のリモート講座は原則として20:00~21:30の予定です。

遭難事例研究

無雪期入門編(座学) 事故に遭わないためには、他人の事故から教訓を学ぶことが有益です。ところが事故の雑誌記事や事故報告書はなかなか読みにくいもの。そこでこの講座では「どう読み込めばいいか」の事例を講演します。会社などで事故分析に使われていたツリー分析という図形を使い、パワーポイントなどで分かりやすくお話ししますので、初めての方もご安心下さい。
今回の事例は…
A:トムラウシ山遭難(2009年7月16日):低体温症で8人死亡した事故です。
  • [文献1]「トムラウシ山遭難事故調査報告書 」でWEBを検索。
  • [文献2]羽根田・飯田・金田・山本「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか」ヤマケイ文庫2012
B:北岳滑落遭難(2007年6月):生還の教訓を学びます。
  • [文献1]羽根田治『滑落遭難』(ヤマケイ文庫2013年) p. 172
無雪期実用編(座学) 事故が起きた時、労山大阪府連の仲間たちは、どこにまず連絡し、どのように行動して対処してきたのでしょうか?労山大阪府連S会の事故2011年9月での実例[文献1]から教訓を探ります。
さらに、引率したガイドさんが訴えられた事故の例として、10月20日のブリザード遭難[文献2]を考えます。
  • [文献1]中川和道「六甲山西山谷での行方不明死亡事故は 私たちに何を問いかけるか(増補版)」、大阪労山ニュース2012年6月号21-25ページ。および『登山時報』2012年6月号20ページ。
  • [文献2]「10月のブリザード」、羽根田治『山岳遭難の教訓』ヤマケイ新書2015年、pp.51-71
積雪期入門編(座学) 他人の山岳遭難を自分の教訓にして、登山の安全性を飛躍的に向上させていきませんか?山岳遭難の分析法と教訓の抽出の例をいくつか紹介します。下記の文献の事例をまず取り上げますので、出来れば事前に読んでおくと講座が聞きやすいです。当日は下の図に示すツリー分析という分析手法を紹介します。はじめての方はどんなものかぜひ見に来て下さい。このツリー解析を自分で使えるようになると,次は実用コースです。
  • [文献1]「春の爆弾低気圧」から「みろく山の会」の事故。羽根田治『山岳遭難の教訓』ヤマケイ新書2015年に収録。
  • [文献2]「ゴールデンウィークの低体温症」から「福岡県の男女6人パーティー」の事故。文献1と同じく、羽根田治『山岳遭難の教訓』ヤマケイ新書2015年に収録。
積雪期実用編(座学)
  1. 事故が起きた時、労山大阪府連の仲間たちは、どこにまず連絡し、どのように行動して対処してきたのでしょうか?今回は、労山大阪府連救助隊の結成の契機となった1974年3月23日と25日の、鹿島槍ヶ岳赤岩尾根での雪崩による二重遭難について学びます。当時の関係者もお招きして[文献1]をもとにこの事故の分析をあらためて行い、再発防止を学び考えていきます。受講希望者で[文献1]をご希望の方はお申し出下さい。
  2. 実用編として短時間で、事故のツリー分析の実習をします。[文献2]学習院大学山岳部2015年2月9日阿弥陀岳事故の教訓を深く学ぶため、経過報告書[文献2]を会場で実際に読みながら、講師中川といっしょに、ツリー分析図を作りましょう。ていねいに手ほどきしますので、初めての方もご参加下さい。ツリー分析の見本として、6/18この講座 の入門編で紹介した北岳での滑落遭難のツリー分析図を下図に示します。
  • [文献1]大阪府勤労者山岳連盟『鹿島槍ヶ岳赤岩尾根遭難報告』PDF文書をご請求下さい。
  • [文献2]野村仁・学習院輔仁会山岳部(協力)『学習院大学山岳部、阿弥陀岳遭難事故の概要』 でネット検索。ダウンロード可。
ツリー分析の例

各種気象講座

夏山の気象 入門(座学) 夏山の気象に関する基礎的な事項を夏山の特徴をまじえながら解説をします。また、一般に入手できる地上天気図、高層天気図、天気予報などから、それぞれ何に着目して山の天気をどう予想するかを解説します。 高層天気図の基礎(座学) 山の天気を予想するには高層天気図が有効な場合があります。本講座では、高層天気図とはどういうものか、何が表示されているかなど、高層天気図の基本的な事項を解説します。受講レベルの目安は、「単発講習会」や「山の教室」の気象入門編を受講した人(未受講だが同レベルの人)、気象の初歩を学び次のステップとして高層天気図の知識を得たい人、を想定しています。 気象情報の見方-気象学の基礎知識から解説する-(座学) 最近の気象予報は2週間先まで表示されています。はたして、2週間先までぴたりと当たるものか。コンピュータの能力が向上すると3週間先まで予測できるのだろうか。このあたりの議論の背後には、決定論的な自然観とカオスや乱流に代表される自然現象の予測の不確実性と数kmから数千kmまでの異なるスケールの現象が混在する気象特有の予報の難しさがあります。このような原理的な話しを織り交ぜて、気象庁のHPの気象情報の利用の仕方をやさしく解説します。 地球温暖化による異常気象と自然エネルギーによる対策(座学) 地球温暖化によって日本では集中豪雨が日常化しており、既に河川の管理基準を超える事態に達し、洪水が頻発しています。また、過去の記録を越える暖冬と寒冬、暑い夏と不順な天候の夏も頻繁に起きています。これらは偏西風波動の振幅の変化によって生じており、エルニーニョ現象とも連動しています。異常気象の解説と地球温暖化対策としての自然エネルギーへの転換、省エネの話を致します。特に、40歳代以下の現役世代が直面するであろう、気候変動のもたらす社会影響の話を致します。 数値予報天気図の種類と読み方(座学) 現在の天気予報はコンピュータで数値的に計算した結果を基にしており、その計算結果を図示化した天気図を「数値予報天気図」といいます。気象庁等からいろんな種類のものが発表されていますので、その中から登山に役立つものを取り上げて解説します。受講レベルの目安は、「高層天気図の基礎」を受講した人(未受講だが同レベルの人)、高層天気図の予想図の知識を得たい人、を想定しています。

地形図の読み方

入門編(座学/実技) 座学と実技をセットで受講ください。〔片方のみの受講はできません〕
山の中での道迷い遭難がまだまだ多いようです。登山を安全に楽しむためにも、地形図を読む力をぜひ身につけましょう。地形図が読めるようになると、山へ行く前に歩くルート全体を見て、危険なところ、道に迷いやすそうなところなどを前もって知ることができ、対策を考えておくこともできます。(地形図とは、国土地理院の2万5千分の1地形図のことです)
座学は、土曜日の午後、途中休憩をはさみながら4時間ほどを予定しています。等高線とその読み方、磁北線の引き方、ベースプレートコンパスの使い方、地形図をネットから印刷する方法など、読図の基礎から学習します。
実技は座学の翌日、近郊の里山へ登ります。周りの地形(尾根や谷、ピーク)と地形図を見比べながら歩き、等高線の奥深さを少しずつ理解していきます。地形図を読む楽しさをぜひ体験してみてください。
2019年から座学が4時間となり、以前より内容が深まっています。学び直しの方も大歓迎です。

実用初級編(座学/実技) 座学と実技をセットで受講ください。〔片方のみの受講はできません〕
入門編を受講後、さらに読図のスキルアップを目指している方向けのコースです。道標が無くても、踏み跡が消えていても、自分の現在位置を把握しながら正確にルート維持できるようになることが目標です。今はGPSを利用してスマホでも登山中の現在位置が分かるアプリがありますが、地形図を読む力は予期せぬ事態に対処する上でも必須です。この講座では、周りの状況も判断しながらルートを考え、地形図とコンパスを使ってルートを維持する力を磨きます。
座学は、土曜日の午後、途中休憩をはさみながら4時間ほどの予定です。次のような内容の学習を考えています。
  • ・目的地までのルートを地形図上で考え、ルートのようすも把握する。
  • ・自分がいる現在地を判断するための方法を、いろいろなパターンの場合で考える。
  • ・ルートを間違いやすい(道迷いしやすい)地点を読み取る。
  • ・簡易ナビゲーション表を作成する。
◇申込みの一応の締め切り 10月21日(木)‥‥下記の通り、座学の予習課題があるため。
*座学では、事前にいくつかの課題について予習をしていただきます。座学当日の学習がより深まるようにするためです。予習ですので分からないところがあっても、何も気にする必要はありません。課題はメール添付または郵便でお送りします。
*この実用初級コースを受講できるのは、入門編(2016~2018年の単発講習会、2019年の山の教室の読図入門編を含む)の座学・実技を受講された方、または、同レベルの読図力をお持ちの方です。
*入門編を受講された方を優先しますので、入門編を受講されていない方については、申し込んでいただいても仮受理となります。人数が定員を超える場合には、申し訳ありませんが受講できないことをご了解ください。

山の病気予防

入門編(座学) 山で仲間がけがをしたりや病気になったとき「何をしたらよいかわからない」「かえって悪化させるかもしれない」との思いから応急手当に踏み切れないということがあるようです。この講習会では低体温症・熱中症・凍傷・高山病について、講師自身や仲間の体験をもとに予防と応急手当の実例を紹介し、あわせて最近の知見についてご紹介します。
※この講座は都合により当初予定のものとは変更して実施します。

ハイキングレスキュー

入門編(座学/実技) 原則として実技と座学セットで受講ください。
ハイキングや縦走登山でも起こりうる事故や緊急事態に備えるための「お助け4点セット」について学びます。必要最小限のロープ結び(ムンターヒッチ、クローブヒッチ、8の字結び、フリクションノット他)を実習して実技に備えます。
この技術はただレスキューのためだけでなく、沢や雪山などのバリエーションを歩くための技術にもつながります。是非習得して下さい。
実技では座学で学んだ知識を実際に使うやり方を学びます。入門コースではリーダーではなくメンバーとしての最低限の知識を学びます。支点工作やビレイ等はやりません。

リーダー編(座学/実技) 原則として実技と座学セットで受講ください。
まずリーダーとしてメンバーにお助4点セットの使用方法を教えられるレベルを目指します。その上で危険個所の通過時にリードとしてFIXロープを張る。またそれをビレイする。メンバーに指導してそこを安全に通過させる等の一連をリーダー、サブリーダーとして確実にこなせる用練習します。
※リーダー編では入門編でするロープワーク等の指導はしません。基本的な事はできるというリーダー向けの講座です。また極力事前に入門編を受講ください。

アルパインクライミングのための制動確保

入門編(座学) アルパインクライミングでは、軟弱な支点への負荷を下げるため、制動確保(ダイナミックビレイ)が不可欠です。この講座では、制動確保の理論を中心に、無雪期のアルパインクライミングのシステムとその使い方を学びます。フリークライミングの確保はやりませんのでジムなどで学んで下さい。大阪府連などでの確保失敗による事故事例も紹介します。申込者には座学用のテキストを事前にメール配信します。読んでから座学に参加していただくと、理解が進んでお得です。
この講座は「入門」編となっておりますが、あくまでも「制動確保の入門」を学ぶための講座です。クライミングをした事がない、確保(模擬練習を含む)をした事がない、という方を対象に確保器やロープの使い方から学び始める講座ではありません。ご注意ください。また座学だけでなく実技への参加もつよくお勧めします。
入門編(実技) 座学受講済レベルを前提とします。座学で学んだ制動確保を実行できるよう、実技トレーニングを10人限定で行います。大阪府連のO氏が開発して下さった衝撃力測定装置で中間支点にかかる衝撃力Fを時間tの関数F(t)として測定します(下図)。ロープをただ握りしめるのではなく摩擦をかけつつロープを1.5 mくらいずらし続けてパートナーの墜落を止め、平らなカーブ(Max = 320 kgf)を実現できるように訓練します。ていねいに指導しますので、初級者の習得率ほぼ100%です。制動確保が成功したら、そのグラフ(下図)をおみやげに差し上げます。ぜひお持ち帰り下さい。
中級者には、やぐら3階のマルチピッチテラスでのハンギング確保、4階の墜落率2テラスでの最難度確保の体験をしていただく可能性もあります。

ガチ止めと制動確保の差

パーティー論リーダー論

入門編1(座学) 山に登るにはリーダーが必要です。カリスマリーダー、持ち回りリーダー、輪番リーダーという言葉を聞いたことがありますか?コーチとリーダーはどう違うのでしょうか?ガイドとリーダーの違いは?パーティーのメンバーとリーダーの関係は?大阪労山の事故のなかでの実例をもとに考えていきます。滅私奉公のリーダーは、いやなもの。持ち回りリーダー、輪番リーダーを考えていきませんか?
  • [文献1]『岳人』2012年10月号:特集「2012年のリーダー考」
  • [文献2]「大阪労山ニュース」2016年10月号 中川和道「大阪府連における登山者養成:大阪の新たな挑戦2016その1」
入門編2「法律との関連」(座学) 山に登るにはリーダーが必要です。入門編1では、持ち回りリーダー・輪番リーダーという新たなリーダー像と、メンバーの関係について紹介しました。秋の部10月8日では、登山と法律の関係、とくに責任問題について紹介していきます。「引率登山では責任は大きいが、自主登山では安全確保責任を問われた実例はない」と言われています(文献1)。では、山岳会での事故とか、公開山行や登山学校での事故の場合にはどうなのでしょうか?講師の体験をまじえながら、事故と責任について考えて行きます。できましたら、以下の文献を読んできていただくと有難いです。文献1~3が手に入らない方はご相談下さい。
  • [文献1]「大阪労山ニュース」2016年10月号 中川和道「大阪府連における登山者養成:大阪の新たな挑戦2016その1」
  • [文献2]「登山時報」2013年1月号,大阪労山ニュース2013年1月号2月号3月号「溝手氏講演会『登山と法律』の記録」
  • [文献3]中川和道『その救助、法律的に無効』大阪労山ニュース2020年1月号p25
  • [文献4]溝手康史「登山の法律学」東京新聞出版局、2007年。